毎月スタイリッシュな服が届く!アメリカ人がハマる定期購入

アメリカのサブスク

Cimplex Marketing Group Inc.はロサンゼルスに拠点を置き、グローバル事業を展開する日本企業を市場調査とマーケティングの分野で支援する日系の会社です。 

現在、多くのアメリカ人が定期的に商品が届くサブスクリプションボックス(以下SB)を利用しています。当社が2018年1月に行った消費者アンケートでも実に4割以上の人がSBを通じて物品を購入している、購入した経験があると答えています。

もとは新聞や雑誌で始まった定期購入制度ですが、今はインターネットを介して食品、化粧品、アパレル、ペット用品、おもちゃなど多方面に広がっています。中でもアパレルは、SB参入から歴史が浅いにもかかわらず大健闘しています。2014年から2017年の3年間でアパレルSBサイトの訪問者数は1017%上昇し、ペットに次いで大きな成長率となりました(*1)。代表企業のStitch Fixは2017年に10億ドルを売り上げ、NASDAQ上場も果たしています。

成長の背景に制度の進化あり!

アパレルのSBが急成長している背景には、制度の進化によって購入者の利便性が大きく高まったことがあります。以下がその例です。

  • 事前に選べる
  • 無料返品できる
  • 商品と一緒に返品袋が同梱されていて返品がラク
  • 要らない月はスキップできる
  • スタイリストがコーディネートしてくれる
  • 毎月固定の料金なので消費額が把握しやすい
  • 登録時に質問に回答することで自分のサイズ、好みのスタイルの商品が届く

SBに特有の「届いてみてがっかりした」「要らないものも購入しなくてはいけない」「返品が有料で面倒」「好みのものが届かない」などのデメリットが軽減されたことで利用者が激増しました。日本の人気ファッション通販、ZOZOTOWNが定期購入サービスでスタイリング料や返品送料を無料にしたり、身体を一瞬で計測できるというセンサー内蔵ボディースーツ「ZOZOSUIT」を無料で貸し出すなど、利用者のデメリットを軽減する工夫は各国で広まっています。

衣類のカジュアル化で急成長のアスリージャー

スポーツブラとレギンスで街中を歩くアスリージャースタイル

近年アパレルで大きなトレンドとなっているのがアクティブウェアです。スポーツ衣類を「アクティブウエア」として日常に取り入れ、よりファッション性を追求した「アスリージャー(アスリート+レジャー)」というサブマーケットが発展しました。ジムや運動場の域を出て街中、飲食店、ショッピングモール、さらに職場(カジュアルフライデーなど)でも許容されるようになり、スポーツをする人に限らず誰もが身につけ始めたことで市場は大きく成長しています。特にレギンスはジーンズ業界を縮小させるほどの人気です。アメリカのアスリージャー市場は2016年に460億ドルの規模に成長、2020年までに830億ドルに達すると見込まれています(*2)。もともとカジュアルファッションが主流の西海岸では、街中でもアクティブウェアを着て買い物やカフェに行く人の姿をよく見かけます。このトレンドの影響で、アクティブウェアのSBも急増しています。

メーカーも新しい販路として重視

毎月スタイリッシュなウエアや小物を届けるFabletics

オンラインでの購入が主流となりデパートやショッピングモールが閉店する中(関連記事:アメリカの小売業界が激動した2017年)、アパレルメーカーは新しい販路の開拓を迫られています。そんな状況でSBは重要な販売チャンネルになりつつあり、各社が模索する姿が目立っています。アクティブウエアに絞って見てみると、自社で作った商品のみを販売するFableticsEllieに対し、SweatStyleやWantableはキュレーションと販売に特化し、外部メーカーから商品を取り寄せています。Under Armourは2017年に「ArmourBox」を開始と、大手メーカーも独自にSBを立ち上げています。多くのメーカーがオンライン販売しているものの、Amazonや自社サイトだけでは競争が難しい時代において、SBを通じた販路拡大を目指すようになっています。

サブスクリプションが海外展開の商機に

ユニクロ、無印良品、ワコール、鎌倉シャツなどのアパレルブランドがアメリカに進出していますが、定期購入制度を利用しているブランドはまだありません。一方、SBを通じた市場開拓を先駆けるのが菓子業界です。現在、アメリカで日本の菓子類(主にスナック)を定期購入できるサービスは主要なものだけで15社あり(当社調べ)、新規サービスも継続的に登場しています。日本の菓子の豊富なバラエティとエンターテイメント性が海外で注目されていますが、アメリカ未発売の商品も多く、SBはそういったアイテムをボックスの目玉として人気を得ています(関連記事:アメリカで広まる定期購入サービス、日本企業にも商機)。SBに商品を提供する菓子メーカーには、アメリカに拠点を持たない企業も多く含まれます。つまり海外進出している、していないに関わらず、SBを通じて消費者に商品を届けることができるのです。

メーカーにとっては今後、こういった販路で海外展開するオプションが広がると考えられます。SBのバイヤーやSBを得意とする卸売を相手に営業する、さらにはSBに合う商品を開発するなど、消費の変化に合わせた活動が求められてきます。

出典:

*1 Hitwise – The rise of subscription boxes and the consumers behind them 2017
*2 Mintel – American Lifestyles: Finding Common Ground 2017

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Yoshiko Garcia

ロサンゼルスに拠点を置くマーケティング会社、Cimplex Marketing Group, Inc.のリサーチコーディネーター。グルメ、ファッション、イベントなどの消費者トレンドに精通している。