「春が来た」はSpring Has Comeであっている?
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「春が来た」と日本語で表現する時、「来た」と過去形になりますよね。その英語として “Spring has come.” と習ったはずです。間違っているわけではありませんが、そう表現できるのは本当に一瞬だけです。
例えば、まだ肌寒さの残る日に急に暖かい風を感じたとします。そんな時は「あぁ、今まさに春が来たな」という感覚で “Spring has come.” と表現できます。「たった今、到来した」という一瞬前の過去の話ですね。
一方、桜も見ごろを迎えてすっかり暖かくなった頃、Spring has comeとは言いません。1)のように「春が来た状態である」として、be動詞を使って現在形で表すのが英語の発想です。
1) Spring is here.
(春が来ました)
2) Spring is here in Tokyo.”
(東京にも春が来ています)
この違いをぜひ頭に入れて下さい。今の話をしているのか、それとも過去の話をしているのか区別する必要があります。
春にまつわる色々な表現
英語でも春の到来を喜ぶ色々な表現があります。3)は「春がたった今飛び跳ねた」が直訳の定番表現で、spring(飛び跳ねる)が過去完了でsprungになっています。つまり一種のダジャレなんですね。Springという単語が、春の躍動感やワクワクする感覚をよく表現していると思います。
3) Spring has sprung.
(春がたった今、来ました)
植物の開花は以下のように表現できます。桜はcherry blossomという言い方もありますが、最近はcherriesでも通用します。「お花見」は敢えて英訳すると7)のようになります。
4) Flowers are starting to bloom in my neighborhood.
(私の近所でも花が咲き始めました)
5) Cherries are in full bloom.
(桜が満開です)
6) We admire cherry blossoms and celebrate the blooming in Japan.
(日本では桜を愛で、開花を祝います)
7) cherry-viewing party
(お花見)
アメリカでは春に大掃除をする習慣があります。それをspring cleaningと呼んでいます。暖かくなった頃に家の内外をきれいにするのは気持ちいいですし、合理的とも言えますね。衣替えも一緒にできますし庭の手入れや種まきにも適した季節です。日本が大掃除する年末、アメリカ人はホリデーシーズンとして休暇を楽しんでいるので家事を一生懸命やるという発想はありません。
覚えたい「来た」「終わった」の時制の違い
Spring has comeに関連してぜひ覚えたいのが、時制に関する感覚の違いです。「春がここに来ている状態である」と同じで、人や物なども「ここにいる」時は過去形ではなく8)や9)のように現在形で表します。
8) I’m here to volunteer.
(ボランティアするために来ました)
9) We’re here to meet Ms. Yoshida at 2 p.m.
(吉田様と2時のお約束があって来ました)
10)はレストランでよく使うフレーズです。「食べ終わった」という動作ではなく「食べ終わった状態である」としてbe done/finishedと表現します。
10) Are you done with your dish?
(料理は食べ終わりましたか?)
11)はbe overで「乗り越えた状態である」ということです。失恋した時の話ですね。「乗り越えた」という過去の動作そのものが重要な場合は “I got over her.” となりますが、もう乗り越えた状態で大丈夫、と表現したい時は現在なのです。
11) I am so over her!
(彼女のことはとっくに吹っ切れたよ!)
慣れないと過去なのか現在なのかで混乱するかもしれませんが、例えばyesterday, a month ago, when I was a childといった過去の時点が重要な役目を果たさない限り、多くは現在形で表現できると思って下さい。そして現在の話はできるだけ現在形を使うよう練習しましょう。
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