アメリカ進出に関する5つの間違い・勘違い

アメリカ進出

Cimplex Marketing Group Inc.はロサンゼルスに拠点を置き、グローバル事業を展開する日本企業を市場調査とマーケティングの分野で支援する日系の会社です。 

多くの日本企業がアメリカ市場にチャレンジしますが、成功する企業、失敗する企業には共通項があります。

「失敗」と一括りにするのは不適切かもしれませんが、売上が伸びず現地法人を解散したり、バイヤーがまったくつかなかったり、多額の負債を抱えて撤退したりなど、事業が継続しなかったケースを少なからず見かけます。これから進出を目指す企業に参考にしていただくため、事例を交えながら日本企業が陥りやすい間違いや勘違いをまとめます。

注)事例は当社の取引先ではありません。

1.日本で売れているからアメリカでも売れるだろう

最大の勘違いです。日本人とアメリカ人では、嗜好、考え方、消費行動が大きく異なります。日本で売れているものがアメリカ人にもウケるとは限りません。そしてビジネス環境や規制も大きく異なります。日本で成功しているビジネスモデルがそのまま通用するわけではありません。アメリカ人が何を欲しているか、アメリカではどのようなビジネス展開が可能であるかを綿密に調べる必要があります。

事例1:日本の駅ビルやデパ地下で行例ができるスイーツ店が進出。アメリカ人にはボリュームが少ないわりに単価が高すぎて購買に結びつかない。さらに駅ビルやデパ地下がないため、飲食店としての運営コストが大きな負担となり閉鎖。

2.質の良さが伝われば必ず売れる

日本人はとかく質の良さにこだわります。それは素晴らしいことですが、アメリカ人は質が良いだけで購入する消費者ではありません。ほかの価値、例えば価格、利便性、見た目なども大きく影響します。消費サイクルが短く、「一生の買い物」という考え方もありません。それは平均8~10年ごとに住宅を買い替えることにもよく表れています。

事例2:「100年色落ちしない」を売りにした高品質のペンキ。家の改装を日常的に行うアメリカ人は、壁の色も頻繁に変える。そういった文化で100年の耐久性に価値を見出して高いお金を出す人はいない。高品質をうたってもバイヤーが見つからず販売を断念。

3.「アメリカ人」に買ってもらいたい

日本人のイメージする「アメリカ人」=「白人」に最初から売り込みをかけたがる企業が少なくありません。もちろんそれで成功する例もありますが、多くの商品は現地に住む日本人や日本の影響を受けやすいアジア系にまず認めてもらうことが現実的な戦略です。今、アメリカで大きなブランド力を誇る企業の多くも、最初はそのようなニッチ市場から開拓していきました。

事例3:日本全国に展開するレストランチェーン。白人の富裕層が多い一等地に鳴り物入りで出店したが、日本のコンセプトをそのまま持ってきたため白人は寄り付かない。より現地に合ったメニューに作り替え、ターゲットも日本人やアジア系に広げたが、時すでに遅く、支持を得ることができなかった。店舗運営にコストがかかりすぎて間もなく閉鎖、撤退。

4.日本で使っている販促素材を翻訳

現地でのプロモーションにチラシやカタログといった販促媒体が必要になります。日本で使っている媒体を英訳すればいいと考えがちですが、それでは販促の役割を果たさない現実があります。日本人とアメリカ人ではそもそも視点が違います。商品の特徴、売りのポイント、スペックなど、アメリカ人が納得できる内容でなければなりません。日本人の視点で作ったものはポイントがずれてしまうほか、翻訳英語のクオリティの低さも目立ちます。必要なのは翻訳ではなくローカリゼーション(現地化)です。

事例4:産業用機械の部品メーカーがつくった英文チラシ。単位がすべてメートル法のまま翻訳されていたが、アメリカではインチやオンスといった単位を今でも使用。スペックは両方を併記する必要がある。また、取得した日本の認証や規格を細かく説明して質の高さをうたっているが、アメリカまたは国際的な認証で何に準ずるのかの記載がなく、アピールにつながらなかった。

5.とりあえず現地法人を作ってから考える

アメリカで法人を設立するのは比較的容易です。資本金の縛りはありませんし、日本在住者だけで役員を構成することも可能です。その気軽さから、とりあえず現地法人を作ろうとする企業が多いのですが、売上の目途が立たないうちから現地法人を作っても、運営コストばかりかかる結果となります。また、会社を設立したその日から納税義務が発生することに気づいていない方も多いです。「売上がないから納税しなくても大丈夫だろう」という勘違いが惨事につながります。

事例5:日本在住者だけで現地法人を設立。取引や売上がなかったため数年間放置し、納税や申告も行っていなかった。結果、連邦と州の税務署から追徴課税と罰金の請求が合わせて数万ドルに達した。納税が完了しないと会社を解散させてくれないため、申告、納税、問題解決、各種手続きに多額の費用を払うことに。

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