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アメリカで “What do you do for living?” (お仕事は?)と聞かれたら、 “I am an engineer.” (エンジニアです)や “I work as an administrative assistant.” (事務職として働いています)など、自分が仕事で何をしているのか答えるのが一般的です。アメリカの企業では、平社員やアルバイトにも肩書が与えられるので、それに基づいた言い方をします。「サラリーマン(もしくは、OL、バイト、フリーター、派遣)です」と答えるのは日本独特だと思います。
英語の発想では、サラリーマン、バイト、派遣などは雇用形態を表すものです。職種の話なのか、雇用形態の話なのかによって使い分けできる表現を紹介します。
Office Lady (OL)の英語表現
「OL」はOffice Lady (オフィスレディ)から作られた和製英語で、よくofficer worker(事務職)と訳されています。ですがアメリカで職業について質問して、 “I’m an office worker.” という答えが返ってくることはまずありません。
日本でいうところの「一般事務職」は、1)のようにadministrative assistantという言い方が定着しています。会社や部署を運営する(administrate)上での補佐という意味ですね。営業部で一般事務をしている人なら2)のようにsales assistantと表すことも可能です。(参考:秘書の対訳にsecretary(セクレタリー)は不適切?)
1) Administrative Assistant
(一般事務職)
2) Sales Assistant
(営業補佐)
日本の企業の名刺を見ていると、その人が所属している部署の記載だけで、何を担当しているのか書かれていないものが結構ありますが、海外との取引が増えて英語版の名刺をつくるのなら、職種や肩書の記載もあったほうがいいと思います。
ちなみにoffice workerという表現を使うのは、自分が事務職(内勤)であることを強調する時です。3)のような例があります。
3) I don’t get tanned at all because I’m an office worker.
(事務職だから全然日に焼けないんだ)
サラリーマンの英語表現
サラリーマンの英訳であるsalaried workerを使うのは、時間給ではなくsalary(固定給)をもらっていることを強調する時です(アメリカではフルタイムでも時給でもらう人がたくさんいます)。ただし、 “I’m a salaried worker.” (固定給の従業員です)と言うより4)や5)のほうが自然です。
4) I’m on a salary.
(固定給で仕事をしています)
5) I get paid on a salary basis.
(固定給ベースで給与をもらっています)
「社会人やってる」という表現もありますが、正社員として働いていることを示したければ、6)のように表します。
6) I’m a full-time employee.
(フルタイム従業員です)
もし、学生ではなく社会人ということを強調したいのであれば、 “I am not a student. I work full-time at XXX company.” (私は学生ではありません。XXX会社でフルタイム従業員として働いています)のように言ったほうが趣旨が伝わります。
アルバイト、パートの英語表現
アルバイトは、「労働」「仕事」を意味するドイツ語 arbeitに由来する外来語です。英語で「バイトしている」と言いたい時は、フルタイムではなくパートタイムで働いているという意味でwork part-timeが使えます。7)や8)のように、簡単に何処、何をして働いているか、ということを付け加えるのが普通です。
7) I work part-time at a restaurant.
(レストランでパートタイムで働いています)
8) I work part-time as a private tutor.
(家庭教師をしています)
パートもアルバイトと同様、9)のようにwork part-timeで表します。
9) I work part-time while my kids are at school.
(子供が学校に行っている間にパートで働いています)
また、バイトをかけもちしている場合は、 “I have two part-time jobs.” (私は二つのパートタイムの仕事をしています)のように表現できます。
フリーターの英語表現
定職につかずアルバイトで生計を立てているなら、アルバイトやパートと同様にwork part-timeと言います。フリーランスで仕事をしている場合は、10)のようにfreelancerを使い、自営業なら11)のようにself-employedと言うこともできます。
10) I’m a freelancer.
(フリーランスで働いています)
11) I’m self-employed.
(自営業です)
契約社員、派遣社員の英語表現
契約社員は12)のようにcontractorやcontract worker、派遣社員は13)のようにtemporary workerやtempという表現があります。いずれも一定期間内の非正規雇用という点は日本と同じで、contractorは会社と契約、temporary workerは派遣元の会社と契約している違いがあります。
12) Our department needs to hire two contract workers.
(我々の部署で2名の契約社員を雇う必要があります)
13) I worked as a temp first and got hired as a full-time.
(初めは派遣でしたがフルタイムとして雇ってもらえました)
Temp to hire(派遣から正規採用)という表現があるように、アメリカではフルタイムとして採用する前のお試しとして派遣制度を利用するのが一般的です。
アメリカの正規雇用、非正規雇用
日本では、正社員やフルタイム社員が正規雇用とされ、それ以外のアルバイト、パート、契約、派遣、嘱託などはすべて非正規雇用に分類されていると思います。アメリカで正規はpayroll、非正規はnon payrollと言います。
Payrollには「給与名簿」といった対訳がついていますが、税制上の雇用区分で使われることが多い単語です。Payrollの従業員にはフルタイムもパートタイムも含まれ、賃金に対する源泉徴収が発生し、雇用主も雇用税を払う必要があります。一方、契約、派遣、嘱託といったnon payrollの従業員には源泉徴収および雇用税が発生しません。
あわせて読む:
CompensationやPayなど労働の対価として得る報酬に関する英語