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アメリカのフードコートシリーズ第2弾です。前回の投稿では、フードホールの特徴と激戦区のオレンジカウンティ(OC)についてお伝えしました。今回はOCの成功事例の見どころを紹介します。
フードホールとフードコートの違いは?
ところでフードホールとフードコートって何が違うのでしょうか?どちらもカフェテリア形式で複数の飲食店が出店し、飲食スペースやごみ箱などを共有するのが基本となっています。お客は好きなお店の料理を個々に選ぶことができ、セルフサービスで安価な食事が可能です。
アメリカでフードコート(food court)というと、ショッピングセンターの一角にある休憩所のようなスペースで、買い物に行ってお腹が空いたから何か食べる、というニーズを満たしています。そのためテナントもチェーンやフランチャイズの店が多く、わざわざ食べに行きたいと思う場所ではありません。
フードホールはそれ自体が独立した商業施設であることが多く、わざわざ食べに出かける場所として発展しています。グルメ、面白い、ほかでは食べられない、といった特徴のある店を集め、個性を追求しています。そのため「フードコートのアップグレード版」とよく描写されています。
現代型フードホールのモデルケース、Anaheim Packing District
「フードホール」というビジネスモデルを成功させ、激戦区のOCで今でも人気No.1の施設がAnaheim Packing Districtです。自然光を取り入れる天井、一階と地階を吹き抜けでつなぐ開放的な構造、くつろぎ可のリビングルームエリア、モダンで洗練された内装など、まず行くことが楽しみになる空間を提供しています。
そこで味わえるのは、クラフトビールからラーメン、新感覚のピザやホットドッグ、こだわりのスイーツ、ド派手ドリンクまで実に多様。若者が好むカジュアルで手頃なアイテムが多く、別々の品を買って交換したり、写真を撮ってソーシャルメディアに載せたりする楽しみがあります。
かつて柑橘類の箱詰め(packing)を行っていた1919年築の建物を改装し、建築基礎を残しつつ現代的な空間へと変貌させました。スクラップ&ビルドを得意とする日本の建築と違い、アメリカでは建築物を保存するのが基本です。ここに来ると、1960年代までOCの中心産業だった柑橘類農業の歴史を垣間見ることができます。「古き良きアメリカ」を残している点も大きな支持を得ています。
時代がようやく追いついたThe LABとCamp
前回の投稿にも書きましたが、Packing Districtを開発したLAB Holdingsというデベロッパーは実は1990年代からこういった商業施設を手掛けてきました。それがThe LABとCampです。道を隔てた場所にある姉妹施設は、フードビジネスに限らず個人経営店や地元商店を積極的に集め、異色のモールとして以前から有名でした。
ヒッピーがテーマのGypsy Denは開業当時からある老舗カフェです。キューバ料理のHabanaやビーガンカフェのNative Foodsなど、当時は珍しかった料理やスタイルを次々と紹介し、成功へ導いています。近年はこれらに加えさらに多くの飲食系のテナントで賑わい、両施設はフードホールとして改めて人気を獲得しています。
The LABとCampはフードホールというコンセプトがなかった頃から、個性にこだわって営業してきました。テナントが上手く集まらず苦しい時期もあったようですが、LAB Holdingsはここでの開発ノウハウをPacking Districtに生かし、フードホールとして大成させます。四半世紀を経てようやく時代が同社のビジョンに追いついたのです。
まだまだある!激戦区OCのフードホール
OCのフードホールは他にも多数あり、開発計画も次々と出てきています。中には聞くだけでワクワクするような計画も!詳しくは次の投稿で紹介しています。