英語にbook smart、street smartという形容があります。スマートフォンから分かるように、英語のsmartは「賢い」を意味します。
前者は「学識がある、高い教育を受けている」タイプの賢者ということです。go by the book(本の通りにやる)という表現にあるように、bookは「手本、しきたり、文献」といった意味になります。book smartはつまり、試験に合格したり、有名大学を卒業することでスマートと見なされる人達です。
一方で彼らは実践に乏しく、何でも習った通り(bookにある通り)にやろうとする傾向があります。日本にも「キャリア官僚」という言葉がありますが、有名大学を卒業して政府高官となる人たちはbook smartと形容されることでしょう。
1) He’s just book smart.
(彼、頭はいいけど世間知らずだよ)
1)のように、book smartは誉め言葉というより「世の中を知らない」的に使われることが多いです。また、頭はいいけれど社会では成功していない、という意味になる時もあります。
ここではbook smartで1つの形容句として使っているので、aやtheのような冠詞はつきません。ですがa booksmart(ブックスマートの人)のように名詞としての使い方もあります。
モテるのはこっち?street smartとは?
後者のstreet smartは、教育はないけれど実体験を通じて(ストリートで)色々なことを学んでいて、世間をよく知っている人を表します。日本語でも「現場で学ぶ」という言い方をしますよね。そういうタイプの人達です。
2) I would rather go out with a street-smart guy.
(デートするならストリートスマートの男性かな)
2)のように、street smartは「教育はないけれど経験から知恵をつけている人」と、たいてい誉め言葉として使われます。アメリカ人は「秀才タイプは話が面白くないけど、経験値が高い人は色々なことを知ってそう」という固定観念みたいなものを持っています。そしてstreet smartは「ストリートから出発して成功を収めた人」的な使い方もされます。
大学に進学するも中退して技術の世界に飛び込み、アップル社を創業したスティーブ・ジョブズ氏のような人は、こちらに属するといえるのではないでしょうか。マイクロソフトのビル・ゲイツ氏も全米最高峰のハーバード大学に入学しますが成績は悪く、休学してプログラミングに没頭し、そのまま大学に戻らなかったので最終学歴は高卒です。
同じくハーバード中退→起業→グローバル企業の経営者という軌跡を辿った人に、フェースブックのマーク・ザッカーバーグ氏がいます。在学中に作り出したソーシャルネットワーキングの仕組みは、学生寮からの出発といったところです。別分野では、大学を中退してトラック運転手になり、「スターウォーズ」に感動して独学で映画制作を学び、「タイタニック」や「アバター」といった史上に残る大ヒット作を監督したジェームズ・キャメロン氏がいます。こちらはまさにストリートからの出発ですね。
アメリカは超がつく学歴社会ですが、一方でこういったstreet smartの人達が桁外れの成功を収めるのは面白いですね。飛びぬけた才能というのはbookでは測れないのかもしれません。
Bookとstreet、どちらがいい、悪いというより、この世の中は両者が共存しているから上手く回っているのだと思います。敢えて二択で、あなたは自分をどちらだと思いますか?