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便利な食材セット、ミールキットの可能性

ミールキットのサブスク

Cimplex Marketing Group Inc.はロサンゼルスに拠点を置き、グローバル事業を展開する日本企業を市場調査とマーケティングの分野で支援する日系の会社です。 

レシピと必要な食材がセットになった「ミールキット」を宅配するサービスは、この10年でアメリカの家庭にかなり普及しました。代表的な企業はBlue Apron(ブルーエプロン)Hello Fresh(ハローフレッシュ)で、ほとんどがスタートアップです。2016年のニールセンの調査で、アメリカの成人の4人に1人がミールキットの購入経験者であり、特に18~44歳のミレニアルやXといった働き盛りの若い世代から強い支持を受けていることが明らかになっています(*1)。

ミールキットという市場が急成長する一方、多くのブランドが苦戦を強いられ伸び悩んでいます。頭打ちの最大の原因はその価格で、定期購入制に加入すると毎週平均65ドル(約7150円)かかるといわれています(2人分の夕食X3日分のコース)。1人1食の単価が11ドル(約1200円)以上と、自分で調理する手間があるにも関わらず、ファストカジュアル店での食事と変わらない金額になります。初期のお試し価格やプロモーションで新規契約の数は増えても、トライアル期間終了後にすぐ解約するユーザーが後を絶ちません。ミールキット会社は新規顧客1人の獲得に100~200ドルの初期費用をかけているにも関わらず解約を止められず、また割高な宅配費用や梱包コストから値段も下げられず、という悪循環に陥っているのです。

ミールキットのオムニチャンネル化が加速

そんな中、今までオンラインでの定期購入、宅配という販路に頼っていたミールキットが実店舗にも流通するようになっています。主な流通先は大手のスーパーマーケットやGMSで、ここに来て販路のオムニチャンネル化が急速に進んでいます。主に3つの形態に分かれ、1)既存のミールキットブランドをスーパーで販売、2)スーパーがオリジナル商品を開発・販売、3)ミールキット会社を買収し商品を販売、という動きが見られます。

いくつかの例を紹介します。

これまで調理済みの総菜や冷凍食品を提供してきたスーパーですが、「ミールキット」という新しいカタチを組み込むことで、中食に本腰を入れてきているのが伺えます。消費者にとっても、スーパーで1セットずつ購入できるようになったことで、ミールキットは身近で便利な存在になりました。欲しい時だけ欲しい分を買えて定期購入の負担がなくなったので、顧客の幅が一気に拡大されたのです。

食の普及につながる大きなポテンシャル

エスニック料理が豊富なミールキット商品

小売大手が次々とミールキットに着手したのは、「1食分の食材がすべて揃う」というキットの商品価値が大きいからと言えます。ミールキットはあらゆるフードビジネスが活用できるポテンシャルを持っているのです。日本食をアメリカの一般家庭に広めたい企業は、ミールキットを通じて幅広い層に新食材をアピールすることができます。また、日本食レストランや日本食スーパーも独自ミールキットの開発・販売で商品バラエティを増やす展開が考えられます。

分量ぴったりの食材が揃っているという特徴から、エスニック料理に気軽に挑戦できるミールキット商品が多数開発されています。日本食やアジア食は特に人気で以下のような例があります。

出前やデパ地下で中食に馴染みのある日本と違い、アメリカの中食市場はまだ多くの可能性を秘めています。近い将来には自動販売機でミールキットが買える日が来るかもしれません。日本もコンビニやスーパーに調理済み食品は溢れていますが、調理していないキットが中食の新たな需要を生み出す可能性もあります。

ミールキットを購入してみました!

ShopRiteで販売しているChef’s Menuの「タイココナツチキンカレー」キットを買ってみました。Blue Apronがレシピや調理を楽しむためのキットであるのに対して、このブランドはあくまで「時短」に徹しています。2人前$13.99と宅配に比べて多少安く、野菜はすでにカットされ、具材とソースと混ぜるだけの内容。スパイスが個別に入っているキットも多いですが、Chef’s Menuではかなり簡略化されています。

*1 Nielsen: Understanding the Meal Kit Landscape and Consumer Preferences

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